香りは記憶を呼び起こすタイムマシーン

ウイスキーの工場見学って、なんであんなにワクワクするんでしょうね。

僕がまだ学生だった頃、
仙台のニッカウヰスキーの工場見学に行った事があるんですが、

その時の僕と言えば、
ウイスキーについての知識はゼロ。

わからないクセに色気づいて、
「ウイスキーはROCKで飲むのがかっこいいに決まってる!」
なんて心のどこかで思っていた若造でした。

でも不思議なもので、
蒸留所のあの独特の香りを吸い込んだ瞬間、
人生初の“匂いだけで軽く酔う”という謎体験をしたんですよ。

鼻の奥がツンとするようで、
でもどこか甘いようで、
なぜか気持ち良いというあの感覚。

今思えば、
あれはアルコールに酔ったというより
大人の世界に足を踏み入れたような
そんな妙な高揚感だったのかもしれません。

そんな事をふと思い出した今日この頃。

もし今もう一度あの工場を歩いたら、
僕はどんな香りの感じ方をするんだろうか…

そんな妄想をしながら、
今日の本題に入っていきますが・・・

 

大人になると“香り”の世界は一気に深くなる

子どもの頃って、
匂いって「好き・嫌い」ぐらいのざっくりした分類だった気がしませんか?

でも大人になると、
同じ香りでも“層”があるという事に気付くんです。

例えば、
コーヒーの匂いだって昔は
「苦い匂い」としか思っていなかったはずなのに。

今では、
ロースト感がどうだとか、
ナッツみたいな香りだとか、
妙に細かい分析ができるようになってきた。

ウイスキーだってそう。
若い頃は「燃える液体」という印象しかなかったのに、
今では同じ一杯から
バニラの甘さ、
ピートの煙、
樽の木の香り…

そんな複雑な層が次々と広がってくる。

そして気付く。

香りは記憶を呼び起こすタイムマシーン

そう。
ただ鼻を通るだけの情報じゃなくて、
心の引き出しまで勝手に開けてくる。

例えばあのニッカの工場の香りを思い出すと、
一緒に当時の空気、
歩いた道、
友達の笑い声まで蘇ってくる。

香りってずるいんですよ。

脳みその深い部分に無断侵入して、
勝手に昔の景色を上映してくるんですから。

 

本当に不思議ですね。

香りが“大人の贅沢”と言われる理由

いつからか、
良い香りをまとっている人って
それだけで“品のある人”みたいに見えません?

別に高級香水をつけてるとかじゃなくても、
部屋の香り、
コーヒーの香り、
その人の生活から漂ってくる匂い。

アレってね、
お金より強いんですよ。

だって香りって、
目に見えないくせに人間の印象を支配する。

不思議なほど本能に近いところに作用してくるんです。

だから“大人の贅沢”って
実はモノじゃなくて、
香りの感受性が育っていく事なんじゃないかと思うわけです。

年齢を重ねるほど
香りの奥行きにも気付けるし、
逆に自分の生活にも
“良い香りの層”を作っていける。

これは時間を生きた人だけが手に入れられる
とっておきの贅沢なんじゃなかろうかと。

で、ふと思ったのが・・・

もう一回あの工場に行ったらどうなるのか?

間違いなくあの頃とは違った香り方をする気がします。

若造の頃はただ
「おぉっ!酒のにおいっ!」
だったものが。

今ならきっと、
発酵の甘さ、
樽の湿った木の香り、
時間が作る奥行き。

そんな“層の深さ”を受け取れる気がするんですよね。

昔の僕が吸い込んでいたのは
ウイスキーの香りじゃなくて“背伸びの匂い”でしたが。

今はちゃんと香りそのものを楽しめそうな気がします。

そしてなにより、
あの空気を吸った瞬間、
またあの頃の自分に戻るんだろうなと。

もう一度工場に行ったら、
当時よりも深い酔い方をするかもしれません。

もちろん匂いだけで、ね。

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