お酒って不思議ですよね。
同じ液体なのに、飲むタイミングと気分で
味が全然違う。
しかも翌日には後悔という副作用付き。
まさに”感情で発酵する飲み物”と言っても過言ではない。
先日、久しぶりに友人と居酒屋に行ったんです。
「今日は軽くね〜」なんて言いながら、
気づけば朝。
財布の中には小銭。
記憶の中には断片。
人生、軽く飲むほどに深く沈むんだなと悟りました。
そんな中でふと思ったのです。
「おいしいお酒って、結局なんだろう?」
高い酒?
有名な酒?
それとも、あの頃の青春を思い出すような一杯?
うーん、哲学。
おいしいお酒とは、「誰と飲むか」で決まる。
昔タイで出会った旅人が言ってました。
「ビールの味は、気温と人間関係で決まる」と。
確かに、40度のバンコクで飲むぬるいビールでも、
気の合う仲間と笑いながら飲めば最高の味になる。
逆に、高級ホテルのシャンパンでも、
気まずい沈黙の中で飲めば炭酸が涙味になる。
つまり、酒の価値って液体じゃなくて空気なんですよ。
グラスの中身より、テーブルの温度の方が大事。
この法則を理解した人から、
人生の”酔い方”がうまくなるんですな。
たとえば僕は、
一人で飲むときは「安い酒をうまくするゲーム」をやります。
コンビニの300円ワインに氷を浮かべ、
わざと高級グラスっぽく飲む。
「うーん、葡萄の人生を感じるな~」って言いながら。
人は酔えば、妄想も美味しくなる生き物なのです。
おいしいお酒は、「記憶のスイッチ」。
久々に飲んだ日本酒の香りで、
ふと大学時代の夜を思い出した。
居酒屋で語った夢。
くだらない恋愛相談。
気づけば終電を逃して、笑いながら歩いた帰り道。
あの夜も、きっと大した酒じゃなかった。
でも心に残ってるってことは、
あれは「うまかった」ってことなんだと思う。
お酒って、時間を巻き戻すスイッチなんですよ。
香り一つで、もう二度と戻れない日々を蘇らせる。
これ、飲みすぎると“黒歴史”も再生されるので要注意だけどね(苦笑)
ちなみに僕の一番危険な記憶スイッチは、
「梅酒」。
あれを飲むと学生時代の“初恋失敗シーン”が再生される。
甘酸っぱい?いや、ただ酸っぱいだけだ。
酒は、人間の取扱説明書を開く鍵である。
酔うと、人は隠していた部分を出す。
普段は温厚な人が急に政治を語り出したり、
無口な人が急にカラオケで「天城越え」を熱唱したり。
お酒って、理性というフタをゆるめるドライバーなんですよね。
でも、それが悪いこととは思わない。
むしろ、酔ってやっと出てくる“本音”こそ、
その人の本当の味なんだと思う。
「酒の席の失言」って、
実は“真実をこぼした瞬間”なのかもしれません。
ただし。
こぼしすぎると信用まで流れるので、
ほどほどに。
おいしいお酒とは、「後悔すら愛せる一杯」。
どんなにいい酒を飲んでも、
飲みすぎたら翌朝は地獄。
「もう飲まん!」って誓うあの瞬間。
でも、次の週末にはもう手にグラスを持ってる。
これを僕は“人類の無限ループ現象”と呼んでいる。
不思議なことに、
二日酔いすらも思い出になる。
「昨日の俺、バカだったなぁ」
って笑えるようになるまでが、
人生と酒の関係なんだと思う。
だから僕はこう思うのです。
おいしいお酒の定義とは──
“昨日の自分をちょっとだけ許せる酒”
飲みながら失敗も笑って流せる、
そんな一杯があれば、
人生のストレスも半分ぐらい溶けていく。
高い酒じゃなくていい。
缶チューハイでもいい。
大切なのは「今日も生きてるなぁ」って思えること。
そして、
飲み終わったあとに
「誰かにありがとう」って言いたくなる酒。
それが、本当の“おいしいお酒”なんじゃないかと。
お酒の神様に今夜も乾杯!


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